前回は、フォルダがそのままAIへの指示書になる、という話を書きました。

読みながら、たぶんこう思われたはずです。

AIにフォルダの中を見せて、それは大丈夫なのか。

そこには会社の資料も、お客さんの名前も入っています。私も同じことを考えました。

① 危ない/大丈夫の二択ではありません

先に言っておくと、「やめましょう」でも「大丈夫です」でもありません。どこに線を引くかという話をします。

なお、そもそも何を渡すと危ないのかはこちらの記事に5つだけまとめました。

「うちの資料って渡していいんだろうか」が気になる方は、先にそちらを読んでいただくと分かりやすいと思います。

② まず、正直な話をします

自分のパソコンの中で動いているように見えるので、勘違いしやすいのですが。

AIが読んだ内容は、外に送られています。

手元で完結しているわけではありません。ここを曖昧にしたまま「便利ですよ」と言うのは違うと思うので、最初に書いておきます。

そのうえで、送られた内容がどう扱われるかは契約の種類によって変わります。

個人で使うときと、会社として契約したときで、学習に使われるかどうかの扱いが違うことがあります。

ここは各サービスの規約を見るのが確実です。会社で使うなら、確認せずに始めないほうがいいです。

③ 見せる範囲は「どこで開いたか」で決まる

「全部のフォルダが見られてしまう」と思われがちですが、そうではありません。

見せた場所だけが見えます。

AIに手伝ってもらうとき、どこを起点にするかを人が指定します。その外側は見えません。

会社の共有ドライブの一番上で始めれば全部見えますし、ひとつの作業フォルダで始めればそこだけです。

つまりこれ、設定の話に見えてフォルダをどう切るかの話なんですよね。第1回から続いている話と、同じところに戻ってきます。

④ 機密フォルダを作る、ではないと思っています

ここで多くの人が考えるのが「機密情報フォルダを作って、大事なものはそこに避難させる」だと思います。

私も最初はそう考えました。でも、これはたぶん続きません。

理由は、毎回「これは機密かどうか」を判断しないといけないからです。

そして一度でも判断を間違えたら、その時点で意味がなくなる。忙しい日ほど、判断は雑になります。

⑤ 向きを、逆にします

考え方どこで漏れるか
よくあるやり方基本は見せる。大事なものだけよけるよけ忘れで漏れる
おすすめ基本は見せない。見せるフォルダだけ作る漏れようがない

「機密フォルダを作る」ではなく、AIと作業するフォルダを作る。 そこで開けば、他は物理的に見えません。

このやり方のいいところは、判断が要らないことです。

機密かどうかを考えなくていい。そこに置いたか、置いていないか。それだけです。

第1回で書いた「置き場が決まっていれば迷わない」と、同じ形ですね。

⑥ 見せる準備をしたら、先に自分の穴が出てきました

ここからは、あまり格好のいい話ではないのですが。

以前、自分用に画像を作るための小さなアプリを作りました。自分しか使わないものです。

そのとき、サービスを使うための鍵を、プログラムの中にそのまま書いていました。

鍵と言っても物理的なものではなくて、要はパスワードのようなものです。

アルファベットと数字が並んだ長い文字列で、これを持っていれば誰でもそのサービスを使えてしまう。 使った分の料金は、当然こちらに来ます。

自分しか見ないから、という理由でした。よくないと知りつつ、後で直そうと思って、そのまま忘れていたわけです。

⑦ AIに見せたから、見つかりました

そのフォルダをAIに見せたときに、その場で指摘されました。

「AIに見せたら危ない」とよく言われますが、私の場合は逆でした。

AIに見せたから見つかった。 もともと危なかったものが、見えるようになっただけなんですよね。

ここで知ったことをひとつ書いておきます。鍵をファイルの外に出しただけでは、終わりません。

一度でも外に出た可能性のある鍵は、その鍵自体を捨てて、新しく作り直す必要があります。

ファイルから消しても、前の鍵は生きたままなので。私も両方やりました。

実害が出る前に気づけたのは、正直、運がよかったです。

⑧ 自分で決めていい情報と、決めちゃいけない情報

もうひとつ、大事な線引きがあります。

自分の資料なら、自分の責任で決められます。多少雑に扱っても、困るのは自分だけです。

でも、他人の情報はそうじゃありません。

お客さんの名簿、従業員の情報、取引先の資料。これらは自分のものではないので、「まあいいか」と自分で決める権利がありません。

判断の基準はシンプルで、**「これは自分のものか」**だと思っています。自分のものでなければ、勝手に決めない。それだけです。

⑨ 名前だけ伏せる、という手もあります

私は以前、地域の団体の会議記録をAIで整理してみたことがあります。

やってみると、記録の中に30人近い実名が入っていました。しかも団体の中の人だけでなく、外部の方の名前も出てきます。

なので、名前を伏せてから使いました。 役職は残して、名前だけ隠す。

手間はかかりましたが、そこは省くところじゃないなと。中身の相談はできて、個人は守れます。

⑩ 会社で使うなら、技術より先にルール

経営者の方に向けて、もうひとつ。

技術的にできることと、やっていいことは別です。

就業規則、社内の情報の扱いのルール、お客さんとの約束。ここに引っかかると、性能の話とは関係なく問題になります。

そして現実的な話をすると、禁止しても、たぶんもう誰か使っています。

会社が用意していなくても、個人で使えてしまうので。禁止すると、見えないところで使われるだけになる。

それが一番まずい状態だと思うんですよね。

⑪ 決めることは、たぶん3つだけです

禁止するよりどこまでならいいかを決めるほうが現実的だと思っています。

どのフォルダなら見せていいか。

お客さんや従業員の情報は、どう扱うか。

迷ったら誰に聞くか。

中身は会社によって違うので、ここでは決めません。

ただ、この3つが決まっていない状態で各自に任せるのが、一番危ないとは言えると思います。

なお私はセキュリティの専門家ではありません。実際に決めるときは、社内の情報システム担当の方や、契約しているサポート会社に必ず相談してください。

遠い話に見えて、今日から効きます

3回にわたって、フォルダの話を書いてきました。

第2回で書いたレベル4や5は、正直、明日からやることではないと思います。「へえ、そんなこともできるんだ」くらいで十分です。

ただ、今回の線引きだけは、今日から効きます。

今日ChatGPTに何かを貼り付けるとき、それは同じ話なんですよね。

外に送っていることと、それが自分のものかどうか。この2つだけ、貼る前に一拍おく。

それだけで、だいぶ違うと思います。

シリーズのまとめ

「うちの場合、どこまで見せていいんだろう」で止まってしまったら、無料相談で聞いてください。

会社の事情によって答えが変わるところなので、一緒に線を引くところからお手伝いできます。

LINEからでも同じように相談できます。相談は無料、しつこい営業は一切しません。

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そもそもなぜ長崎の小さな会社がAIなのか、という話はこちらの記事に書いています。