AIに何かを相談するとき、「これ、貼っても大丈夫かな」と手が止まることはないでしょうか。
一度気になると、だんだん何も貼れなくなります。かといって、何も考えずに全部貼るのも落ち着かない。
なので、気をつけるものを5つに絞りました。 ここだけ覚えておけば、あとはあまり悩まなくて済むと思います。
その前に、ほとんどの資料は渡して大丈夫です
先にこれを言っておきたいです。
社内の手順書、自分で書いたメモ、会議の進め方、商品の説明、日報の書き方。こういうものは普通に渡して大丈夫です。 むしろ渡さないと、AIは的外れなことを言います。
危ないものだけ避ければいいのであって、全部を疑い始めると使えなくなります。 それは目的と逆ですよね。
避けるのは、これから書く5つだけです。
| 種類 | 出てしまうと何が起きるか | |
|---|---|---|
| ① | 鍵になるもの | 誰かが自分になりすまして使える |
| ② | 他人の名前が入っているもの | 自分の一存で決める権利がない |
| ③ | 預かっているもの | 約束を破ったことになる |
| ④ | まだ外に出していない、うちの内側の話 | 出た瞬間に、なかったことにできない |
| ⑤ | 変えられない番号 | 悪用されても作り直せない |
① 鍵になるもの
パスワード、ログイン情報、それから「APIキー」と呼ばれるものです。
APIキーというのは、アルファベットと数字が並んだ長い文字列で、要はパスワードのようなものだと思ってください。サービスとサービスをつなぐときに使います。
怖いのは、盗まれても気づかないことです。
家の鍵なら、なくなれば分かります。でもこの手の鍵はコピーされても手元に残るので、誰かに使われていても気づかない。使われた分の料金だけが、後から請求されます。
もし渡してしまったら、その鍵は作り直してください。 ファイルから消すだけでは終わりません。この話は少し長くなるので、別の記事に書きました。
② 他人の名前が入っているもの
顧客名簿、従業員の情報、取引先の担当者の連絡先。
ここで大事なのは、危険度の高さより権利の話だと思っています。
自分の資料なら、多少雑に扱っても困るのは自分だけです。でも他人の名前は自分のものではないので、「まあ大丈夫だろう」と自分で決める権利がありません。
個人情報の扱いは法律にも関わるところなので、判断に迷ったら会社のルールを確認してください。
③ 預かっているもの
お客さんから預かった図面、見積の中身、まだ公表されていない企画。
「これは外に出さない」と約束して受け取ったものが、これにあたります。契約書を交わしていなくても、打ち合わせの中で「ここだけの話ですが」と言われたものは同じです。
これが漏れたとき、多くの場合、相手は怒鳴り込んできません。黙って次から声がかからなくなるだけです。そのほうが怖いなと思っています。
④ まだ外に出していない、うちの内側の話
ここには2種類あります。
ひとつは、いずれ出す予定のものです。決算前の売上、人事の話、値上げの計画、新しい店を出す場所。
内容そのものが秘密というより、出す順番と時期が大事なタイプですね。
一度出てしまうと、なかったことにはできません。「まだ言わないでください」が通じるのは、出る前だけです。
もうひとつは、ずっと出さないものです。取引先の一覧、仕入れの値段、自分たちで見つけたやり方。
こちらが漏れると、真似されます。 うちが強い理由がそのまま渡ってしまうので。
どちらも、出たら戻せないという点では同じです。
⑤ 変えられない番号
マイナンバー、口座番号、免許証や保険証の番号。
パスワードは変えられます。鍵も作り直せます。でもこれらの番号は変えられません。
一度出てしまうと、ずっとそのままです。だから他の4つより慎重でいいと思っています。
特にマイナンバーは、会社として扱うときの決まりが厳しく定められています。社内の担当者に確認してください。
「顧客情報」「機密情報」はどれにあたるのか
普段よく使う言葉と、ここまでの5つが噛み合わないと思うので、整理しておきます。
顧客情報は、中身によって3つに分かれます。
| 顧客情報の中身 | どれにあたるか |
|---|---|
| 名前・連絡先・住所 | ② 他人の名前が入っているもの |
| 預かった図面・要望・先方の社内事情 | ③ 預かっているもの |
| どこと取引しているかという一覧 | ④ うちの内側の話 |
同じ「顧客情報」でも、危ない理由が違うんですよね。
名簿は相手の権利の話、預かった資料は約束の話、取引先の一覧は自分の商売の話です。ここを混ぜて考えると判断を誤ります。
機密情報は、そもそも種類ではありません
社外秘というのは、①〜⑤のどれかに札が貼ってある状態です。中身は必ず5つのどれかに入ります。
そして、ここが大事だと思っているのですが。
札が貼ってあるものは、実はあまり事故りません。 「社外秘」と書いてあれば、誰でも手が止まるので。
事故るのは、札が貼られていない危ないもののほうです。だから「機密かどうか」で判断するのはやめて、5つで見るほうが確実だと思っています。
一番多い事故は、貼った本人が気づいていないやつ
ここまで読んで、「自分は大丈夫」と思われたかもしれません。
ただ、実際に多いのは渡したつもりのないものが一緒に付いてくるケースです。
- スクリーンショットの端に、別のウィンドウが映っている
- 表計算のファイルを渡したら、隣のシートに名簿が入っていた
- PDFの2ページ目に、見積の内訳が付いていた
- メールを転記したら、下のほうに前のやりとりが全部残っていた
どれも、悪気なんてまったくないんですよね。ただ見ていない部分まで渡しているだけです。
だから、貼る前に自分で一度スクロールして最後まで見る。 これが一番効きます。
迷ったときは、2つ聞いてみてください
ここに書いた5つに当てはまらないものも、当然たくさん出てきます。そのときは、この2つで判断できると思います。
これは自分のものか。
自分のものでなければ、自分の一存で決めない。誰かに聞く。
出てしまったとき、取り消せるか。
取り消せるなら、そこまで神経質にならなくていい。取り消せないなら、慎重に。
だいたいこの2つで足ります。
「渡さない」以外にも手はあります
危ないと分かったとき、諦めるしかないかというと、そうでもありません。
名前だけ伏せるという手があります。
私も会議の記録をAIに整理してもらったことがありますが、役職は残して名前だけ隠しました。 これで中身の相談はできて、個人は守れます。
数字をぼかすのも同じです。「売上1億2千万」を「売上およそ1億」にするだけで、相談としては十分成立することが多いです。
もうひとつ、そもそも見せる場所を分けておくという考え方もあります。こちらは別の記事に書きました。
まとめ
危ないのは5つだけです。
鍵になるもの、他人の名前、預かっているもの、うちの内側の話、変えられない番号。
普段使う「顧客情報」や「機密情報」という言葉は、この5つにまたがっています。
言葉で判断せず、中身がどれにあたるかで見てください。
そして一番多い事故は、気づかずに一緒に渡してしまうやつ。貼る前に最後までスクロールする、これだけで大半は防げます。
最後に
なお私はセキュリティの専門家ではありません。
会社としてルールを決めるときは、社内の情報システム担当の方や、契約しているサポート会社に必ず相談してください。
「うちの資料、どこまで渡していいんだろう」で止まってしまったら、無料相談で聞いてください。
業種によって答えが変わるところなので、一緒に線を引くところからお手伝いできます。
LINEからでも同じように相談できます。相談は無料、しつこい営業は一切しません。
そもそもなぜ長崎の小さな会社がAIなのか、という話はこちらの記事に書いています。
AIまわりの言葉が分からなくなったら、AI用語辞典もどうぞ。
まちのAI屋さん
