未仕訳の残りは140件。
勘定科目を1件直すのに、画面の操作で30〜40秒かかっていた。
単純計算で、あと1時間半です。
この「あと1時間半」を前に、手が止まったことはありませんか。

先に結論です。
140件を速く片付けるより、「来年も効くルール」を作るほうが、ずっと価値が大きい。
確定申告×AIシリーズの中で、一番伝えたいのがこの回です。

① 1件30〜40秒の壁

第1回で書いた、未仕訳449件をAIに処理させていた途中の話です。
前回は、去年の帳簿を読ませて科目のバラつきを消すところまででした。

AIは科目の候補を判断できても、画面の操作には時間がかかりました。
明細の一覧は情報量が多くて、1件変えるたびに読み込みを待つ。
計ってみると、1件30〜40秒。
残り140件で、約1時間半の見込みでした。

ここで手が止まりました。
これ、来年も同じことをやるのでは?

② 自動仕訳ルールとは?

マネーフォワードには「自動仕訳ルール」という機能があります。
「明細にこの文字が含まれていたら、この科目」を登録しておく仕組みです。
これが、とてもよくできているんですよね。

明細に含まれる文字自動で入る科目
AMAZON.CO.JP消耗品費
ENEOS車両費
OPENAI / ANTHROPIC通信費
JR東日本モバイルSuica旅費交通費

ルール作りは、AIの得意分野でした。
過去の明細から「この店はいつもこの科目」というパターンを拾って、ルール案を一覧にしてくれる。
中身を確認して、94件のルールとして登録しました。

③ 取り込んだ瞬間、140件が埋まった

ルールを取り込んだ瞬間、140件の勘定科目が一斉に正しく埋まった。
1件30〜40秒かかっていた作業が、待ち時間ごと消えました。
そのまま登録まで進み、未仕訳は140件から55件に減った。
85件を一気に処理できたことになります。

これは、ちょっと感動しますよ!
画面の中で、半年分の取引に次々と科目が入っていく。

④ 今日の作業か、来年の仕組みか

ここからが、この記事の本題です。

94件のルールは、今年の140件のためだけのものではないです。
来年も再来年も、明細を取り込むたびに効き続けます。
来年の未仕訳は、最初から科目が埋まった状態で始まる。

AIに「今日の作業」をやらせると、今日が楽になります。
AIに「仕組み作り」をやらせると、来年からずっと楽になります。
同じAIでも、頼み方でここまで違うんですよね。

弊社がシステム開発でやっているのも、実はこれと同じです。
作業を代わりにやるのではなく、繰り返し効く仕組みのほうを作る。
この考え方はAI代行から仕組みづくりへの記事でも書いています。

1か月後、どうなっていたか

ルールを作ってから1か月後、2026年9月2日に会計ソフトを開いてみました。
未仕訳は28件たまっていた。

ただ、中身が前と違いました。
28件のうち23件は、勘定科目がもう入っている。
JR東日本モバイルSuicaは旅費交通費、GOOGLE PLAY JAPANは事業主貸。
7月に作ったルールが、そのまま効いていました。

会計ソフトの取り込み画面から2箇所を抜粋。GOOGLE PLAY JAPANは事業主貸、JR東日本モバイルSuicaは旅費交通費と、自分で作ったルールが勘定科目を入れている。雲アイコンが付いた行は会計ソフトのAIが推測したもので、CANVAの支払いが車両費になっている

「未仕訳」は「科目が決まっていない」という意味ではない

ここは私も勘違いしていました。
会計ソフトの「未仕訳」は「まだ登録ボタンを押していない」という意味です。
科目が空っぽの行は、28件中0件でした。
残っている作業は、中身を確認して登録を押すことだけです。

残りの5件は、ルールに引っかからなかったぶんでした。
こちらは会計ソフトのAIが科目を推測していて、画面には雲のアイコンが付きます。
中を見ると、Canvaの支払いが車両費になっていた。
推測は、やっぱり外れることがあります。

1件30〜40秒で140件を片付けた日から、1か月。
同じ作業は戻ってきませんでした。
ルールを作るというのは、そういうことだと思います。

まとめ

  • 1件ずつ直すと1時間半かかる作業が、ルール94件の取り込みで一瞬で埋まった
  • 自動仕訳ルールは今年限りではなく、来年以降もずっと効き続ける
  • AIには「今日の作業」より「来年の仕組み」を作らせるほうが価値が大きい
  • 1か月後に確かめたら、たまっていた28件のうち23件は科目が入っていた。ルールは実際に効き続けている

この記事は、AIツールを実際の業務に使ってみた記録です。筆者は税理士ではありません。
記事中の勘定科目の扱いは筆者の判断によるもので、正しい処理はお近くの税理士にご確認ください。
個別の税務相談にはお答えできません。


「うちの仕事も、ルール化できる?」と思ったら

毎年・毎月繰り返している作業があれば、仕組みにできるかどうか無料でお答えします。
個別の税務相談はお受けできません。AI活用のご相談のみ承ります。

LINEで気軽に無料相談。相談だけでも大歓迎、AIの最新情報も届きます。友だち追加する