士業の方に向けてこの記事を書くのは、正直ちょっと緊張します。私は資格を持っていませんし、書類とルールの世界の厳しさは、皆さんのほうがはるかにご存じだからです。

それでも書こうと思ったのは、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の活用事例の中に、士業の未来として一番分かりやすい数字があったからです。
制度のことはまるわかり編申請の流れ編にまとめてあります。

① 顧問先が1年で30社増えたという報告

支援機関のまとめ(IT整備士協会の事例集)に、こんな報告があります。

  • クラウド会計ソフトを入れた会計事務所で、顧問先が1年で30社増加

この数字のポイントは、「営業をがんばった」話ではないところだと思います。記帳や入力の作業時間が減った分だけ、新しい顧問先を受けられる枠が生まれた。
つまり事務所の受け入れ能力そのものが広がったという話なんですよね。

士業の売上は「専門家の時間」が上限になりがちです。その時間を入力作業が食っているなら、そこを道具に渡すのが一番効く、というのがこの事例の教訓だと思います。

顧問先が1年で30社増。入力が減って受け入れ枠が広がった

② もし自分の事務所だったら

導入した事務所の一日を考えてみました。中の実務を知らない人間の想像なので、「うちは違うよ」という部分があったらすみません。

朝、顧問先の通帳やカードの明細は、クラウド経由で勝手に取り込まれている。手入力の山がない。

資料の受け渡しは、紙の封筒や添付ファイルの探し合いではなく、共有フォルダに揃っている。「あの資料まだですか」の電話が減る。

午後は、空いた時間で顧問先を訪問。試算表を見ながら「来期どうします?」の話をする。

入力が減った時間は、相談に乗る時間になる。

そして相談こそ、お客さんが本当にお金を払いたい部分のはずです。

作業から判断へ。入力・転記・チェックから、正しい扱いとこれからの方針へ

③ AIは判断をしない。判断こそ士業の仕事

AIで士業の仕事がなくなる、という記事をよく見かけます。私は道具側の人間として、これは半分だけ当たっていると思っています。なくなるのは入力・転記・チェックの作業で、なくならないのは判断です。

「この経費、どう扱うのが正しいか」「この会社は今、何をすべきか」。ここは資格と経験を持った人の仕事で、AIにできるのはその手前の下ごしらえまでです。
だから道具が入るほど、士業の仕事は作業から判断へ、つまり専門性の濃い側へ寄っていく。これは仕事が奪われる話ではなくて、仕事が本来の形に戻る話だと思うんです。

長崎だと、どうか

これは実例ではなく私の勝手な想像ですが、長崎の中小企業はインボイスや電子帳簿保存への対応をまだ手探りでやっているところが多いので、デジタルに強い事務所は「頼れる先」として選ばれやすくなるはずです。
実際の先生方がどう感じるか、むしろ聞いてみたいです。

④ これ全部、補助金の対象

クラウド会計、業務管理、電子契約、顧客管理。どれもデジタル化・AI導入補助金の対象です。通常枠なら費用の1/2が補助されます(最低賃金近傍の事業者は2/3)。
士業事務所自身が申請できるのはもちろん、顧問先に補助金活用を助言する立場としても、制度を知っておいて損はないはずです。

締切は1〜2か月ごとに設定されているので、最新の日程は公式サイトの事業スケジュールで確認してください。準備に2週間かかるものがあるので、気になった方は早めにどうぞ。

まとめ

  • クラウド会計の導入で顧問先が1年で30社増えたという会計事務所の報告がある(支援機関まとめ)
  • 増えたのは営業力ではなく受け入れ能力。入力が減った時間は相談業務に戻る
  • AIがやるのは下ごしらえまで。判断という専門性の濃い仕事に寄っていく
  • どれも補助金で半額〜。顧問先への助言材料としても使える制度

「うちの事務所だと、どうかな?」と思ったら

法律と実務のことは、間違いなく先生方のほうがプロです。私が知っているのは道具と補助金のことなので、掛け合わせたら何かできるかもしれません。
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